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昔々あるところに、可愛い赤ずきんがおりました。
赤ずきんはママに頼まれて、怪我をしたおばあさんのお見舞いに森を進みます。
しかし、森では悪い狼が赤ずきんを待ち構えていたのでした……。
死体発見


お、おおお落ち着いてっ! まずは落ちちゅいて状況を整理するのよ!

少し落ち着けよ。

まずここにいるのは4人。
赤ずきん。

あん?

赤ずきん:
可愛らしい見た目をした男。
ママの言いつけで、おばあちゃんのお見舞いにやって来た。

狼。

う、うん……。

狼:
可愛らしい 見た目をした男。
いつも森をうろうろしている。肉食。

それと猟師の私。

猟師:
生意気な女の子。
声がキンキンうるさい。

……そして、死んでるおばあさん……。

(死亡)

おばあさん:
赤ずきんの母方の祖母。
ずっと死んでいる。

どうしてこんなことになったのか、順番に整理しましょう……。
容疑者たち

まず赤ずきん! あんたは何で今日ここに来たの?

別に来たくて来たんじゃねーよ。
肩痛めたババアが世話しに来いって言うから、ここ最近毎日通ってたんだ。
今日も言われたから来ただけ。他のことは知んねー。

狼、あんたは?

僕は……その、赤ずきんがこのところ毎日来るから、おばあさんに何かあったのかなって
それで、様子を見に来ただけだよ……。

で、お前はなんなんだよ、猟師。

狼がこの家の周りをうろうろしてたって通報があったから、様子を見に来たのよ
そしたらこんな、こんな……!
狼の主張

元はと言えばあんたが悪いのよ、狼!


僕……!?
あんたがおばあさんを襲ったりするから!

ぼ、僕は襲ってなんかいないよ……。

嘘おっしゃい! 私はあんたがおばあさんにのしかかるのを見たんだから!
それを見つけたから、私……。
だいたいなんであんた、おばあさんと服を交換しているのよ!
泥棒してたところを見つかったからおばあさんを襲ったんでしょ!

だから違うよ……!
これは、おばあさんと一緒に赤ずきんを驚かせようって、そういう計画で……。

はぁ?

おばあさんが、反抗的で生意気な赤ずきんをぎゃふんと言わせたいって。
それで、僕と入れ替わる計画を立てたんだ……。
おばあさんだと思って声をかけたら狼だったなんて、流石の赤ずきんでも腰を抜かすだろうって……。

あのババア……。

だ、だから、おばあさんは自分から服を交換しようってて言ったんだ……
僕のせいじゃない……。
あの時、僕はおばあさんを巻き込んで転んだけれど、それは足が滑ったからなんだ……
ただそれだけなんだよ……。

じゃあ、あんたは純粋な善意で、おばあさんに協力したって言いたいの?

も、もちろんだよ……!
食べるのは、おばあさんと赤ずきんを両方捕まえてからのつもりだったんだ。
こんな狭くて汚い家で、料理もしてない生の肉を食べたりしないよ……。
だって僕はグルメなんだから……。

やっぱり食べる気だったんじゃねーかよ!

あんたいい加減にしなさいよ!

あっ、あの時、妙な感じに絨毯が滑ったんだ!
ここの床はなんだか変で……本当に事故だったんだよ……。
赤ずきんの主張

絨毯が滑った?
そんなことあるわけ……きゃあっ!
いったた! 本当に絨 毯がつるつる動くわ、何よこれ!

……〜♪(口笛)

赤ずきん、あんた何か知ってるわね!

別に……俺は、絨毯の下に油を撒いたりなんかしてねーけど……

何をやっているの!?

あのババア、せっかく来てやってるのにうるせーんだよ、
やれ掃除が雑だの味噌汁が濃いだのとさぁ。
だから少しお灸を据えてやろうと思ったのさ。
油で絨毯が滑ってすっ転んだら、さぞびっくりするだろ?
ちょっとの怪我で世話だの何だのうるさく言うから
どうせなら大怪我させてやろうってな。

なんて陰湿……。

でも俺がやったのはそれだけで、ババアが死んだのとは関係ねーよ!

関係ないわけないでしょ!
あんたが変な嫌がらせをしたせいで、服を交換し合ってたおばあさんと狼が転んで。
それを外から目撃した私は、おばあさんが狼に襲われてると思って、
狼を狙って銃を撃った……。
けど、その狼は、狼の格好をしたおばあさんで……。
……つまり、悪いのは……。
後始末

この事件、狼が完全に悪いってことよね?

そんなわけないよ!
直接殺したのは君じゃない!

違うもん! 私は人助けしようと思っただけだもん!
結果はどうあれそれは素晴らしいことでしょ!?
間違いを恐れてたら人は何もできないのよ!
